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Fallen London初心者向け世界観ガイド


以下の文章はu/Galle_によってRedditに投稿されたこのポストを訳したものです。
この文章はフォールン・ロンドン初心者向けのガイドとして有名で、過剰にネタバレに触れることなくある程度網羅的に世界観を知ることができます。ゲームを始めたはいいけれど何が何だかわからない、といったプレイヤーにお勧めです。ただしとても長いので気になった項目から読むのが良いと思います。
内容的には一つ前の記事と被る部分が多々ありますが、こちらの方がより詳細でフォールン・ロンドンの内容が多めです。
二年程前のものなので一部情報が古く不正確な部分があるかもしれません。また、序文にもあるようにあえて隠されている情報も多くあります。
今回も固有名詞の後の()はSunless sea日本語訳での訳です。参考程度にどうぞ。
日本語化の方法についても記事にしました。こちらからどうぞ。




現在のところ、フォールン・ロンドン新規プレイヤー向けの、一か所でロアを概観できるような良いガイドは特に見当たりません。サイドバーにあるロアコレクションは素晴らしいものですが、(訳注:Redditのサイドバーのこと ネタバレを気にせず、特に知りたい項目が絞られている場合はこちらの参照も推奨)同時にネタバレだらけです。このガイドの目指すところは、新規プレイヤーに向けてある程度の“指針”と、フォールン・ロンドンとは何か、そして地下での暮らしとはどのようなものなのかについてのざっくりとした理解を与えることです。
このガイドでは基本的にフォールン・ロンドンで一般的な知識とされているものにだけ言及します。つまり、あなたのキャラクターが知っていることや、通りで見かけた知らない人に礼儀正しく尋ねるだけで簡単に手に入るような知識が対象になるということです。Ministry of Public Decency(良俗省)が検閲するようなものには一切触れません。とても大切なロアの幾つかについて触れないままにするという事かと反対されるかもしれませんが、ある程度はそうするつもりです。そういった設定は秘密とされているはずなのですから。例えば、Judgementに関する物事などはすべて重大なネタバレになってしまいます。

ロンドンの落下
1861年、イギリスの王配殿下であるザクセン=コーブルク=ゴータ家のアルバートは腸チフスによって亡くなり、後には嘆き悲しむ未亡人、ヴィクトリア女王が残されました。私たちの世界では、女王は彼の死によってひどく打ちのめされ、生涯彼の死を悼み黒衣を着続けます。
しかしフォールン・ロンドンの世界においては、彼女にはある機会が与えられました。アルバートの死から一年後、長いクロークを纏い、高く鋭い声で語る奇妙な人物たちが彼女の前に現れたのです。彼らは商人を名乗り、取引を持ち掛けました。彼女の愛する者の命の代わりにロンドンを買いたいというのです。
女王はその取引を受け入れました。
その夜、ロンドンは蝙蝠の大群に包み込まれました。落下のさなかに何が起こったのかその正確なところはよく分かっていませんが、ロンドンは何らかの方法で地下何マイルも下に位置する巨大な洞窟へと引きずり込まれたのです。街は巨大な地底海の西岸に落下し、その結果下にあった街を押しつぶしました。
しかし、一つの建物だけが完全な姿で街の落下を生き延びました。巨大で、不恰好、謎めいた赤のシンボルに覆われた黒い尖塔の集まりです。クロークに身を包んだ人物は言いました。あれこそがエコー・バザールであり、自分たちがその支配者だ、と。

The Neath
ロンドンはNeathと呼ばれる、おおまかに地中海の地下一マイル程度の位置にある巨大な地下洞へと移されました。Neathの大部分はUnterzeeと呼ばれる塩湖に占められています。そしてZeeにあるいくつかの島に加え、巨大な大陸が二つ存在します。ロンドンが沿岸部を占める西方の大陸とElder Continent(旧大陸)と呼ばれる南方の大陸です。この地図はほぼ正式なものですが完璧に正しいとは言えません。
Neathにはいくつもの特色があります。最も顕著なのは、死はもはや以前ほど恒常的なものではないというところでしょう。Neathにとどまり続ける限り、たいていの負傷から立ち直ることができるのです。しかし、いくつかの例外は存在します。疫病や並外れた加齢、あるいは完全にバラバラにされるなど、これらから回復することはできません。溺死や海での死から戻ってくることは可能ですが、その場合以前の姿に戻るのではなく、ドラウニーへと変わってしまいます。ドラウニーとは自分は死んだのだと頑固に信じ続けているある種の海のゾンビのような存在です。しかしいずれの場合でも、この効果は太陽光にさらされた瞬間に終わりを迎えます。Neathで一度でも死ぬと永遠に地下に閉じ込められてしまうのです。

フォールン・ロンドンの社交界
ロンドンは一応大英帝国の首都のままであり、政治機構も大方はなんとか機能しているといった状態にあります。女王は家族と共にケンジントン・パレスに引きこもり、自らの名を呼ぶことを禁止しました。政府は“Her Enduring Majesty(永遠なる女王陛下)”と呼んでいますが、人々は無礼にも“Traitor Empress(裏切りの女帝)”と呼んでいます。
公的には、Masters of the Bazaar(バザールの支配者たち)はロンドンの政治には何の影響も持っていないことになっていますが、それでもある程度の影響力を…手中(と呼んでいい物かは疑問ですが)に収めています。彼らがある法を望めば議会はそれを可決します。幸運にも、Masterたちはロンドンに対してそこまで多くを要求してきませんでした。例えば、取扱いによっては危険になりうる幾つかの品物の規制や、政治的な書物等の検閲、そして理由は不明ですが恋愛小説に対する厳しい課税などが今までに行われてきました。
フォールン・ロンドンの名声ある(つまり、人間でかつ犯罪者でない)住人は以下の通り。
  • Traitor Empressは家族と共にShuttered Palace((鎧戸の)鎖された王宮)から滅多に出ることなく暮らしています。
  • Sinning Jennyは修道女にして娼婦であり、そして近頃市長に選ばれました。(訳注:2016/1894年市長選挙)彼女はロンドン一悪名高い売春宿であるParlor of Virtueの経営者でもあります。そしてAbbey Rock(修道岩)と呼ばれるに暮らす修道女会とのつながりがあるようです。
  • Duchessはこれまた鎖された王宮に暮らす、どこの国の人とも知れない謎の多い高貴な女性です。猫好きで猫を傷つける人たちに対して厳しい事で有名。
  • Captivating Princessは女帝の一番下の子で、いまだ公に頻繁に姿を現す唯一の継嗣でもあります。王女はロンドンの落下より後に生まれ、なかなかスキャンダラスな人物であると評判です。
  • His Amused Lordship、英国の貴人で、女帝の廷臣の一人。騒々しく、情熱的な人柄で知られています。
  • Bishop of Southwark(サザーク主教)、火と硫黄について説く宣教の人であり、若いころにはCampaign of '68('68年戦争)で戦い、いまだその時に中途半端に終わった仕事を片付ける機会を待ち望んでいます。近頃の市長選挙では第三位でした。
  • Mrs Plenty(ミセス・プレンティ)はイースト・エンドに位置する人気のサーカスを取り仕切るふくよかな体躯に陽気な人柄の女性です。
  • Merry Gentlemanは極めて高名なロイヤル・ベツレヘム・ホテルの支配人です。宿泊料は眼玉の飛び出るほど高価ですが、狂人は無料で泊まることが出来るようです。
  • Jovial Contrarian(朗らかな議論好き)は論争を愛し、議論の的となるような政治思想(もちろん、それが彼の本当の政治に対する考えだと仮定するならの話ですが)で知られる車椅子の紳士です。市長選挙では二位に終わりました。
  • Mr Huffam(ハッファム氏)はロンドンで最も有名な新聞『Unexpurgated Gazette(無検閲紙)』の発行者です。その正体はチャールズ・ディケンズ。どうやらミドルネームを通称として用いているようです。
  • Dr Schlomoはヴィーンから逃れてきた学識ある人で、夢の解析をして生計を立てています。その正体はジグムント・フロイトで、彼もまたミドルネームを名乗っています。
  • F.F. Gebrandtはロンドンでも名のある科学者で、医薬品の製造家でもある厳格な風采の女性です。
  • Mr Clathermont(クラザモント)は三人の娘と共にロンドン一人気のタトゥー屋を営んでいます。彼の店は船乗りやスパイでいつも溢れています。

近頃の軍事的計画の失敗にもかかわらず、ロンドンにはいまだそこそこ真っ当な軍隊が存在していますが、それでも大英帝国が落陽の日々にあることは否定できません。地表と連絡を取るのは状況が良い時でも困難で、海の向こうにある植民地の大半は失われてしまいました。その上、海軍省が王立海軍は南方で取り組んでいる工業的な計画に人員を集中すべきであり、他の物事は放っておこうと決めたらしいのもロンドンにとってはさらに厄介ごとを増やすだけでした。

バザールとマスターたち
The Masters of the Bazaar(バザールの支配者たち)は、バザールで行われるすべての商売を、つまりはロンドンで行われるすべての取引を支配する10人程度の集団で、まず間違いなく人ではない奇妙な存在の集まりです。彼らは重いクロークを纏い外見を隠し、甲高い声で話します。およそ12人の支配者たちが存在するようですが、複数の名で商売を行う者もいるため正確な数を知るのは困難です。
支配者たちはそれぞれに特定の品を商い、それに合わせた名を名乗っています。現在知られている名前は以下の通り。(以下はspacemarine9の書いた文を堂々と盗んできた物です。ネタバレを避けるため一部手を加えられています。)
  • Mr Wines(ミスター・ワイン)。ワイン、コーヒー、その他飲める物なら何でも取り扱います。夢も自らの管轄下にあると主張し、Mr Spicesと対立しています。Mr Winesはもっとも愛想がよく社交的な支配者の一人で、素敵なパーティーを開くことでも知られています。もっともそのパーティーのための支払いについては問題がありますが。
  • Mr Apples。果物、野菜、そして木材が専門。これにはHesperidean ciderも含まれており、つまりは不死の商いも手中に収めているという事です。Mr Applesもまたある程度親しみやすい存在です。
  • Mr Spices。スパイスや麻酔薬の商売が担当。夢も自らの管轄下にあると主張し、Mr Winesと対立しています。Mr Spicesは厳格でプロフェッショナルな態度を取り、ビジネスライクに振舞いますが、同時に苛立ちやすい性格をしています。
  • Mr Stones。石、宝石、塩、そして火薬を扱います。Mr Stonesは物質主義で欲深いです。そして英語をきちんと話すことが出来ないのか、あるいは2、3単語以上の会話は無駄だと考えているようです。
  • Mr Iron。武器、道具、蒸気機関、印刷業などが担当。厳格でユーモアの欠片もない性格で一切話すことがなく、代わりに書き文字で会話を行います。
  • Mr Cups。陶磁器、食器、彫刻やその他諸々の家庭にある小物が担当。そのような小物を集めるRag-and-bone man(訳注:不用品を回収し生計を立てる人々。19世紀から存在する。)を大勢抱えています。彼らはRelickersと呼ばれています。
  • Mr Pages。紙、本、インク、ペン、そしてそれ程高価でない秘密を商う。政府や支配者たちの快く思わない書物を処分するための組織であるMinistry of Public Decency(良俗省)も管理しています。Mr Pagesはフレンドリーで親しみやすい性格ですが、同時に興奮しやすく、おそらくは自分で勝手に作り上げた長ったらしい単語を好んで用います。
  • Mr Hearts。肉、皮、骨、そして動物を商う。友好的で、形式ばらない物言いですが、それが行きすぎ時に少しばかりわざとらしく聞こえることもあります。そしてジョークを好みます。
  • Mr Veils。布と服が担当。Mr Veilsは折り目正しく、常に礼儀を失することがありません。
  • Mr Mirrors。硝子、鏡、そして高品質な秘密が担当。Mr Mirrorsは礼儀正しい一方で控えめで人を遠ざける傾向があります。
バザールで暮らす真っ当なマスターたちの他に、どうやら同じ種族のように見える何かしらの生き物が目撃されています。
  • マスターたちはビッグ・ベンの廃墟にHouse of Chimesと呼ばれる排他的なクラブを所有しています。そして誰であれ、その場にいるマスターは皆Mr Chimesと名乗るようです。
  • Mr Sacks、別名冬の赤獣はサンタクロースのような恰好をしてクリスマス(今ではSacksmasと呼ばれています)の頃になると街を歩き回るマスターです。しかし、サンタクロースと違い、サックスは贈り物をくれるのではなく、自分に何かを贈るよう求めてきます。時に、いい結果に終わることもありますが(例えば、サックスはあなたの酷いケガを貰ってくれます)それでも、注意すべき存在であることに変わりありません。
  • それに加えて、かつてMr Eatenと呼ばれるマスターがいたという噂があります。しかし、彼について尋ねてまわると大変な目に遭う可能性が極めて高いです。

裏社会
アンダーグラウンド、とはもう呼べませんね。フォールン・ロンドンには多くの犯罪組織が存在します。また、大規模な浮浪児のギャング団が幾つもあり独自のネットワークを形成しています。
フォールン・ロンドン犯罪界での主な大物は以下の通り。
  • The Cheery Man(チアリー・マン)。旧ロンドンの犯罪者たちの目付け役である老いた男性。水辺にある人気のパブ、メドゥーサズ・ヘッドの経営者でもあります。
  • The Gracious Widow(心優しい未亡人)は街に流通する禁制品の半数を管理している東アジアの血を引く初老の女性です。彼女が影の外へ出ることはありません。いえ、比喩的な意味ではなく、文字通り暗がりから出てこないのです。
  • The Topsy King(トプシー・キング)、Raggedy Menと呼ばれる狂人たちの議会を束ねる狂人です。彼らは皆街の家々の屋根の上で暮らしています。
  • Antonio Feducci(アントニオ・フェドゥッチ)、厳密には犯罪界の大物という訳ではありませんが、悪名高い決闘家です。この自称「墓人街の王子」は幾つかの有名な非合法格闘クラブを取り仕切っています。

革命家
フォールン・ロンドンに暮らす全ての者が現状に満足しているわけではありません。時に“ダイナマイトファクション”と呼ばれることもある革命家たちは民衆を扇動し、爆弾を投げつける無政府主義者と社会主義者の集団です。彼らは政府とバザールの支配者の転覆を企んでいます。
ロンドンには多くの革命派勢力が存在しますが、最も大きく、力があるのはCalendar Council(暦法議会)でしょう。暦上の月の名前をコードネームとして用いる12人からなる隠れた革命家集団。その指導者であるDecemberはロンドンでも最も悪名高き犯罪者たちからも、不承不承ではありますが、敬意を払われています。

夢とParabola(パラボラ)
ロンドンが落下したのち、夢とは単なる睡眠中の脳の活動の閃きではなく、物理的な別の次元だという事が判明しました。その別の領域はパラボラと呼ばれています。Neathではパラボラと目覚めているときの世界の境界線が地上よりも薄く、ここで起こる多くの奇妙な物事はそのことに起因するものではないかと言われています。
単にパラボラの幻影を見るのではなく、実際に中に入る方法は幾つもあります。しかし、世間に最も知られているのは囚人の蜜を舐める方法でしょう。流浪者の薔薇として知られる白い花の蜜から作り出されたこの蜂蜜は舐めた人を物理的に夢の中へと転送してくれるのです。囚人の蜜は節制を持って消費すれば、素敵な小旅行が出来るだけで完全に安全です。しかしながら、長期間にわたって使用すると精神より先に体だけが夢から帰ってきてしまう“honey-mazing(蜂蜜に惑う)”と呼ばれる症状を呈すようになります。この状態に陥ると夢遊病のようになり、あなた自身や他の者に対して危険が及ぶかもしれません。

先に来た街
ロンドンはバザールの支配者たちによって買われた最初の街ではありません。ロンドンの前には四つの街がありました。それも全く同じ場所に。四番目の街はロンドンの下敷きになったのです。これらの街についてはあまり詳しく分かっていません。
  • 第一都市はもちろん、落ちてきた街の中でも最古の都市です。銀の硬貨だけが遺物として残されています。
  • 第二都市に関しては石膏で出来た頭と解読不能な粘土板が見つかっています。バザールの支配者たちはこの街に関してあまり良い記憶が無いようです。彼らの前でこの街について言及しないように。
  • 第三都市からは辰砂のビーズと巨大な四角い石の偶像が残っています。
第四都市については例外的にある程度の事実が分かっています。しかしそれも当然の事でしょう。なぜなら、彼らはモンゴル帝国だったからです。正確には重要なモンゴル帝国の街の一つ、ですが。ロンドンの落下により第四都市はその下敷きになってしまいましたが、比較的状態の良い遺跡が街の南西あたりに残っています。そのあたりは今ではForgotten Quarter(忘却街区)と呼ばれ、考古学者たちの注目を集めています。
第四都市そのものは落下によって破壊されましたが、Unterzeeにあるコロニーは生き延びました。ニュー・カーネイトはヴェネツィアのような水路の街でUnterzeeの遠方中央付近に位置し、ロンドンの最大の敵対勢力となっています。

ZailorとUnterzee
Neathの大部分はUnterzeeと呼ばれる波の少ない巨大な塩湖に占められています。Zeeという名前はヴェンダーバイトにある墓人街と初めて交流を持ったオランダ人探検家にあやかってつけられました。そして結果として、"zailors"や"zee-ztories"、"zubmarines"と呼ぶ習慣が生まれました。しかし、Zを過剰に使うのは陸者の証として扱われます。
Zeeは完全に固定されていません。Unterzeeは時折“変動”し地形が大きく変わってしまうのです。その結果、海図は信頼できなくなりました。そして地下にある洞窟ですので、当然太陽はなく、天候の変化もほとんどありません。そよ風より強い風がほとんど吹かないため、zeeを旅する船はほとんどが蒸気船です。ただしポリズリームとキェロネイトは人力で漕ぐガレー船を好みます。潜水艦を密かに所有する個人もいるようですが、zailorたちは潜水艦を危険な発明と見なしており、公式にはNeathの国々はUnterzeeの下には手出し無用であると合意しています。
Zailorたちは迷信深い事で悪名高く、その大半の迷信はzeeの三柱の神々のいずれかと結び付けられています。
  • Stone、癒し、炉端、故郷を司る神。旧大陸の光輝の山と結びつけられています。
  • Storm、暴力、武勇、砕ける大波の神。天蓋に住むと言われています。
  • Salt、水平線、別れ、外を目指す欲求の神。東の果てに住むと言われています。
いずれの神も友好的ではありませんが、かといって完全に人と敵対しているわけでもありません。多くの船乗りは少なくとも彼らの怒りを招かないように努めています。

地獄と悪魔たち
ロンドンから川を上っていくと、地獄があります。ええ、本当に。
地獄には、当然のことですが、悪魔たちが住んでいます。悪魔たちはたいてい人間…っぽい見た目をしています。しかし、時に赤い目や角といったあからさまに悪魔じみた特徴を持つ者もいます。彼らはどうやら世界とは時間的にずれているようで、ゲーム内の世界は1880年代後半であるにもかかわらず1920年台のような身形をしています。悪魔たちは礼儀正しく、チャーミングで気さくに振舞うこともできますが、決してうっかり親しくならないように。すべての悪魔はただ一つ、あなたの魂だけを狙うソシオパスなのです。
地獄はかつては君主制でしたが、共和制革命がヨーロッパを席巻した際に地獄も機に乗じて革命を起こし、古い貴族階級はひっくり返され追放されました。そして巨大で慈悲のかけらもない官僚制にとってかわられたのです。旧貴族階級はマウント・パーマストンと呼ばれる島へと逃げブリムストーン評議会と呼ばれる追放政府を築きました。
ロンドンと地獄の関係については、予想の付くことですが、良いものとは言えません。まったくもって全然良くありません。しかし、戦争状態になったのは1868年にロンドンが地獄への侵略を試みた時だけです。このよく知られた68年戦争はロンドンにとっては良くない結末に終わりました。それどころか、純然たる惨敗だったと言っていいでしょう。地獄はより優れた技術を持ち、どういうわけか尽きることなく悪魔を送り込んでくることまで出来たのです。英国陸軍がようやく手を引いた時には、戦死者の数は相当数に達していました。
戦争ののち、ロンドンはしぶしぶ地獄と正規の外交関係を結ぶことを余儀なくされました。地獄は自らの領事館であるBrass Embassyをベイカーストリート(現在ではMoloch Streetとして知られています)に建て、地獄に通じる急行列車の路線を敷きました。そしてロンドンに人の魂の取引を合法化するよう迫りましたが、現在でも魂の商売は厳しく制限されています。地獄はロンドンで活発に交易を行っており、魂を輸入し、石炭、硫黄、nevercold blass(冷気知らずの真鍮)とdevilboneを輸出しています。

ポリズリームとクレイマン
ポリズリームはUnterzeeに浮かぶ島です。その島はKing with a Hundred Hearts(百心の王)によって治められ、すべての物が生きているという話です。コインやベッド、建物に至るまで生命を持ち、およそ考えうる限りすべてのものと話すことができるのです。
ポリズリームの最も重要なロンドンへの輸出品はクレイマンでしょう。たいていの場合単純労働に喜んで身をささげる人間のような姿の像です。クレイマンは食べることも飲むことも疲れることもなく、大変忠実で与えられた命令を即座に、そして死の瞬間まで果たします。多くはレディボーンズ・ロードの近くにあるクレイクォーターという地下の隔離街区で暮らしています。
大半のクレイマンは極めて従順ですが、あいにくなことにUnfinished Men(未完成クレイマン)と呼ばれる危険な集団も存在します。シンプルに何かが欠けた、不完全な状態で作り出されてしまった者たちです。あるものは片手がなく、あるいは心臓や良心を欠いた個体もいます。未完成クレイマンは非常に危険な存在ともなりえます、信頼しないのが賢明でしょう。

Tomb-Colonies(墓人街)
Neathにおいては死は必ずしも恒常的なものではありませんが、それでも傷は残ります。そして幾つもの人生分の傷を抱え込んでしまえば、人々はあなたの事をあまり視界に入れたいとは思わなくなるでしょう。墓人街は少なくとも第三都市にまでさかのぼる伝統です。もしかするとそれよりさらに古いかもしれません。そうした街に暮らす人々のうち、歳をとりすぎるか、あまりにも多くの傷を負い上品な社会には受け入れられなくなってしまった者たちは包帯に身を包み北へと向かい、沿岸に連なる街を目指します。そのような街の中でも特に重要なのがヴェンダーバイトとシバルバですが、それ以外にも多くの墓人街が存在します。
墓人たちは墓人街に常に留まっているわけではなく、時々ロンドンを訪れることもあります。そして時にとても危険な存在となることも出来ます。大抵の者よりはるかに年老いていて経験豊富なのですから、それも道理でしょう。彼らを怒らせないように。

Elder Continent(旧大陸)
広大な暗きUnterzeeの南方に位置する旧大陸は、Neathでも最も謎めいた場所の一つです。今のところ、ロンドンの手は大陸北部の沿岸地帯の一部にのみ及んでいます。中でもカーネリアン・コーストはその茸の熱帯雨林や喋る虎、名産のサファイアなどで知られています。この名をつけた探検家は恥ずかしがっている事でしょうね。この大陸の最も特徴的な地形は巨大な光輝く山です。適切にもMountain of Light(光輝の山)と呼ばれています。ロンドンの人間は誰一人として足を踏み入れたことがありませんが、山の姿は沿岸部からでもはっきりと目にすることが出来ます。
旧大陸のほとんどはPresbyrate(長命衆)によって治められています。長命衆は強力な人間の帝国を築き、異邦人が光輝の山を目指し内陸へと踏み込むことを禁じています。長命衆についての情報はほとんど手に入らず、彼らも秘密の維持を望んでいるようですが、それでも彼らが生きた木から作られた船を有していることは知られています。また、永遠に若いままでいられる正しい不死を手にしているのではないかと推測されています。嫌味な連中です。
詳しい時期は分かっていませんが、近ごろロンドンはカーネリアン・コーストにポート・カーネリアンと呼ばれる植民地を作り上げました。長命衆は激しく抵抗しましたがロンドンはそれに打ち勝ち、居住区を確保しました。今ではポート・カーネリアンは大英帝国の輝ける宝石となり、文字通り輝く宝石の輸出港となったのです。

Neathに存在するその他の場所
以下はZeeに存在するすべての島の完璧な一覧ではなく、重要で人に知られているにもかかわらず何らかの理由で今までに言及されていない島を並べた大まかなリストです。
  • アイアン・リパブリックはロンドンの南に位置する都市国家で、地獄とは同盟関係にあります。ある時、彼らは法にはもううんざりだからすべて取っ払ってしまおう、と決意しました。すべての法を、です。重力がちゃんと存在する環境が好きならあの場所は訪れないほうが賢明です。
  • アイレムはUnterzeeのはるか遠方にある島で、まったくバカバカしいほどの量のコーヒーを輸入し、パラボラ・リネンとして知られる夢から採られたエキゾチックな布を輸出しています。あの場所では時がこんがらがっています。
  • ファザムキングの砦。ファザムキングはドラウニーの支配者です。
  • キェロネイト、はるか昔に死んだ巨大な怪獣の背に暮らす狩人と捕鯨人の国。
  • クーマエ運河。優れた水門を用いたシステムによって、Unterzeeから地上へと旅することができます。この運河はナポリ近郊の洞窟へと通じています。
  • Roof(天蓋)。Neathは巨大な洞窟なので、当然蝙蝠と鍾乳石に覆われた天井があります。いくつかの鍾乳石は中をくりぬかれStarved men(飢えた男たち)の砦となっています。彼らは戦士にして学者であり、上の世界とも下の世界ともほとんど交流を持っていません。

その他の生き物
以下はフォールンロンドンに登場する生き物のリストです。彼らはそこまで重要ではないか、あるいは単独の項目を書くには重要すぎる秘密を持っている存在です。
  • The Rubbery Men(ラバリー・マン)。風変わりでグニグニした人間のように見えなくもない姿にイカ頭の生き物です。彼らは話すことが出来ず、何故か琥珀に強い愛着を抱いています。
  • Sorrow-spiders(悲哀蜘蛛)。普通の蜘蛛は人が寝ているあいだに涙を飲むといいますが、この悲哀蜘蛛は目玉を丸ごと持って行きます。
  • Goat demons。地獄生まれの山羊の悪魔たちは正確には悪魔ではありません。非常に危険で用心深い生き物です。
  • Rattus Faber(フェイバーネズミ)、別名L.B.として知られる彼らは話すネズミです。彼らは優れた職人としても有名。
  • 猫たちはいわゆる普通の猫なのですが、何故か話すことが出来るようになっています。猫たちは多くの情報を持っており、ロンドンの下層階級は秘密を求めて彼らをよく追い回しています。
  • Drownies(ドラウニー)、海で死ぬとあなたも彼らのようになってしまいます。彼らは明らかに死んでいないにもかかわらず自分たちは死んでいるのだと信じ切っています。
  • Pentecost Apes(ペンテコステ猿)は実際は単なる猿に過ぎないのですが、面と向かってはそう言わないのが良いでしょう、彼らは人の魂を盗み吸収することが出来ます。そして彼らの故郷エンパイア・オブ・ハンズでは所有する魂の数に対応した複雑なヒエラルキーが形成されており、多くの魂を吸収するほど高い地位に就くことが出来るのです。
  • Blemmigan(ブレミガン)はUnterzeeの真ん中に位置する巨大なキノコの島からやってきた、紫色の肉食でキノコのようなタコのような生き物。
  • Snuffer(スナッファー)は旧大陸よりやってきました。彼らは蝋燭を食べ、人の顔を盗みマスクのように身に着けることの出来る怪物です。
  • Moon-miser(ムーン・マイザー)はNeathの天蓋にコロニーを形成する巨大な昆虫です。彼らの甲殻は固く、燐光を発するGlim(グリム)として知られる物質から出来ており、群れの発する光はNeathの地面から見るとさながら星のように見えます。結果、その光はしばしば“false-star(偽星)”と呼ばれます。
  • Vakeは闇夜を獲物を求めてさまよう、フォールンロンドンで最も悪名高き怪物です。数えきれないほどの怪物狩りがこの怪物に殺されてきました。これをついに倒したものは誰であれ一瞬で伝説となれるでしょう。
  • Eater of Chains、巨大な怪物のような見た目の黒い犬です。噂によれば人の悪夢に入り込み人を追い回すそうですが、あの犬なら間違いなく現実世界でも人を襲うことは出来るでしょう。
  • Jack-of-Smilesはどうやら人々に憑りつき意のままに操る特殊な霊的存在のようです。ジャックは狂気に突き動かされた連続殺人鬼であり、滅多に人を完全に殺しきることができていないにもかかわらず真剣に扱われることを望んでいます。
  • Starveling Cat!Starveling Cat!酷い詩の源にして、ネズミの悪夢!それと、どうやらある種の腹を空かせた超自然的猫の怪物でもあるようです。



以上でガイドはおしまいです。ずいぶん長かったですが、ここまで読んだ人は果たしてどれだけいるのでしょう?これを読むのは、フォールン・ロンドンをプレイしようという人たちですから当然長い文章を読むのが好きな人が多いでしょうが、それでもかなりの量です。
このブログ自体大勢に読まれるとは思っていないのですが、これだけまとまった量を訳すと一人でもいいので誰かに読まれたくなってしまうのが人の情ですね。
次回はネタバレ含む用語集かFLのあらすじを書く予定です。それかもう既に時期を逃した感はありますが、クリスマスイベントの話もいいかもしれません。

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